この人に会いたい!
インタビュー

つねに、一歩先をめざして!

鄭 仁豪(ちょん いんほ)先生

筑波大学附属聴覚特別支援学校長
鄭仁豪(ちょん いんほ)先生

聴覚障害児童生徒を対象とする国内唯一の国立の特別支援学校が市川市にあるのをご存知ですか?
今年の4月から新しい校長として赴任された鄭先生に、いろいろとうかがってきました。

筑波大学付属

※昭和22年に市川市国府台に移転し創立

はじまりは明治時代だそうですね。

まだ障害児教育が公的には行われていなかった明治のはじめ、盲ろう者の教育を計画した「楽善会」という教育者や篤志家、宣教師たちの集まりが、この学校のスタートです。設立時には明治天皇から3000円が下賜されたそうです(当時の1円= 約2万円という説も)。
とはいえ慈善事業であったため経営は苦しく、4名の生徒とともに始まった築地の訓盲院はその後、小石川に場所を移しました。
明治18年に官営となり、盲学校と聾唖学校が分かれ、本校の前身である東京聾唖学校は昭和22年に市川市に移転。現在は、幼稚部・小学部・中学部・高等部・専攻科に3~18歳、国内の聴覚障害児童生徒を対象とする特別支援学校としては国内最多の236名の児童生徒が在籍しています。
生徒たちを手厚くフォローするために教職員は136名。筑波大学への教育研究貢献という使命のいっぽうで、学生が通常の学校の児童生徒と同じ水準の学力を身につけられるよう、意識高く教育活動を行っています。
また、原則教職員に異動はないため、学生に寄り添った対応ができていると自負しています。外部との交流は国内にとどまらず、欧米・アジア等、様々な国と連携を持ち、その国の特別支援学校への視察・交換留学なども積極的に行っています。

先生の研究分野は聴覚障害児の発達心理学ですね。

自国(韓国)の大学では特殊教育を専攻しました。
そこで同期に聴覚障害を持った学生がいて、最初は特に気にしていたわけではなかったのですが、大学2年の終わりに兵役で入隊し、3年後に復学して再会したとき、彼の知識量のすごさに圧倒されたのと、それが文字を通してのみ形成されたものであることに驚きと興味を持ち、その知識・成長の仕組みへの探求心がわいてきました。
当時の韓国は戦車に乗り込んだ軍人が校内に入って学生を監視するほどデモが多く、まともに通学すらできない状態でした。
勉強をもっと深めたくて特別支援教育が発達している日本を留学先と決めて大学院に進んだのです。
それ以来ずっと日本で暮らしてるので、もう人生の半分以上をこちらで過ごしています。
今から30年ほど前はまだ留学生がとても少なく、「なぜわざわざ日本に留学に」と言われるなど、大変なこともありました。
でもアルバイト先では日本語習得の手助けにと、店長や仲間がたくさん話しかけてくれました。筑波大学大学院心身障害学専攻に入学した当初は、手話の勉強をしようと思っていたのですが、当時は手話の専門家がいなかったため、聴覚障害児の読み書きの発達を専門とする先生に門下に入りました。
そのときから、聴覚障害児者の「発達心理」の領域、おもに文章理解や認知発達といったものを研究しています。

今後の目標は?

自分の研究や学生指導の時間を充実させて、研究と教育活動を充実させたいですね。
それと同時に、取り組んでいることを全力でサポートし、本校の教員一人一人が愛着とプライドが持てるような学校にしたいです。
そして、唯一の国立聴覚特別支援学校として全国にさまざまな教育や研究の成果を積極的に発信し、同時に地域貢献できる学校としての、本校の認知度をよりアップしていきたいですね。
障害があると、なにかと不便な世の中です。でも、障害のある方たちにもそれぞれの能力を発揮される方はたくさんいます。
障害のある人たちがつねにもう一つ上を目指せるようなお手伝いを学校として関わっていければ、と思っています。

今年の11月に開催された文化祭のもようです

今年の11月に開催された文化祭のもようです

インタビュアー: もりあやこ

これまでなかなか家庭を顧みる時間が少なく過ごしてきました。
今後は妻との時間を大切にしたい」と語る鄭先生。
温かい雰囲気に包まれた時間のなかで、終始笑顔を絶やさず穏やかに答えてくださいました。



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