この人に会いたい!
インタビュー

漫画家くりきあきこさん

漫画家
くりきあきこさん

「「いま」への想いを漫画にこめて」
本紙『保』の表紙に毎回素敵な4コマまんがを描いてくださっている、くりきあきこさんが今回をもってご卒業されることになりました(涙)。3年間を振り返りながらご本人にインタビューさせていただきました。

(もり)
本紙の創刊号からおつきあいいただき、ありがとうございました。
毎回、特集テーマと簡単なストーリーをお送りするだけで、がらっとすてきな漫画となって送られてくるのがとても楽しみでした。
漫画の依頼は初めてなので、くりきさんにはいろいろと助けていただき、感謝してます。また、漫画をきっかけに中面も読んでいただけて、おかげさまで問い合わせも増えました。

(くりき)
そういっていただけるとうれしいです。いろいろな情報を4コマに収めること、最後はクスッと笑ってもらえるように、と毎回悩んでいたのですが、どう描いたらピリピリっと中を開いててもらえるかなということはいちばんのポイントでしたから。
私にとっては、知らなかった保険のことなどを学ぶチャンスにもなりましたし、与えられたものを形にしていくという経験にもなりました。また本紙が情報提供に徹したつくりで、営業色の濃いものではなかったところも、描きやすい理由の一つでした。

小さい頃から漫画家を目指していたんですか?

はい。小学校5年生のときにプロの漫画家になりたいと思って、友だちと3人で同人誌を作りました。高卒後の進学を考えたときに、当時はまだ漫画の専門学校はなかったので、絵本の学校に入りました。絵本は絵を描くだけでなくストーリーについても考えるのでいいかなと。
でも結局1年で中退して漫画家さんのアシスタントに。最初は「メシ(飯)スタント」で(笑)。食事作り、掃除などをする日々でしたが、やがてベタ塗りやトーン(模様があらかじめ印刷されたシールのようなもの)貼り、だんだん背景のペン入れを任せてもらえるようになりました。自分の作品はその合間を縫って描いて、雑誌に投稿していました。

途中でほかの道を考えたことはなかったんですか?

自分で読んで感動した漫画があって、自分でも描きたい! とにかく漫画家になりたい、という気持ちでほかの道は考えませんでした。
趣味として描くということでは満たされないものだったんです。デビューまでもスムーズではなかったのですが、デビューしてからの方が大変でした。1週間に7~8時間しか眠れないくらい忙しいときに、目の前が真っ赤というか見えるものすべてが赤と黒だけになったことがあって。さすがに命の危機を感じました(笑)。
反対に仕事がなくなってしまったときは、かなりの踏ん張りが必要で。漫画という表現方法が好きで、伝えたい思いがあったので続けることができました。

くりきさんの作品は何気ない日常生活でありながら、深く考えさせられるテーマを取り上げてますね。

若いとき担当編集者の方に「きみは何が描きたいの?」と聞かれて「人間の感情が描きたいです」と答えたのですが、あまり理解してもらえませんでした。
喜怒哀楽の『間』にある微妙な感情、それが生まれる状況にメッセージを込めたいと考えています。連載中の『ブレッチェン』は母子家庭で生活保護を受けていた少女がお母さんを病気で亡くして苦労しながらも明るく生きていくというストーリーです。
たとえばこの作品の骨格はどのように発想されたのでしょうか。娘の習い事にパン教室を選んだのですが、そのうち私の方が夢中になって、パン屋さんのお話を描いてみようと(笑)。ちょうどその時期に「相対性貧困」という社会問題を知って、パンのリーン(貧しい)とリッチ(豊か)に重ねて構想しました。
骨格を決めたあとは、描きながらあれこれ考えて続きを決めています。別の作品『おそうじします!』は、一話限りの読切をシリーズにしませんか、といわれて連載になったのですが、こちらでもちょい役のはずのキャラクターがレギュラーになったり。
読者からのレビューで「この作品は行き当たりばったりのように見えるがよく考えてある」と評されて、あ、その通り(笑)と思いました。

創作の裏話までご披露いただいてすみません(汗)。ちょうど気になるところでいま終わっているので、続きを楽しみにお待ちしてます。きょうはありがとうございました。

くりきあきこ
東京都生まれ。絵本の学校中退後、アシスタントを経てデビュー。
代表作は『おそうじします!』『ブレッチェン〜相対的貧困の中で〜』。4コマ作品は漫画家夫婦の日常を描いた『夫婦みち』『夫婦ぜんざい』など。


2019/10/25発行

インタビュアー: もりあやこ

「とても気さくに飾ることなくたくさんのお話しをしてくださいました。幼少期から今でもマンガが大好きなわたしにはとても新鮮で興味深いお話しばかりでした。ご卒業は寂しく残念ですが、今後もくりきさんのご活躍を心より願っています。3年間、ありがとうございました!!」



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