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インタビュー

立川談幸師匠

立川談幸師匠

「「声」に気を配り、「伝わる」噺を」
みぞぐち商会のクリスマスパーティで、毎回司会をつとめ盛り上げてくださる落語家さん。今年は残念ながらパーティが開けなかったため、紙上でのごあいさつをいただきました。

今回はクリスマスパーティが中止ということで残念でした。現在、噺家さんはどういうかたちでお客さんに落語をされていますか

今はこんな状況なのでYouTubeなどのネット配信もさかんです。寄席もしっかり対策を講じながら開いていますし、敷居は高くない場所です。ぜひみなさんの日常に「落語」の二文字を増やして、気軽に笑って生活の癒しや潤いにしていただければと思います。

師匠は落語研究会(落研)のご出身でしたよね

ちょうど高校生の時が演芸ブームでした。最初は「ESS」という英会話のクラブに入部したのですが、並びに部室があった落研のほうが気になって、「英」語が「落」語にかわってしまいました(笑)。大学でも落研で、卒業後は当時『若手四天王』と呼ばれていた立川談志師匠の門をたたき弟子入り。
師匠にもよるのでしょうが、落語の世界は意外と門戸が広くて、アタシの頃は希望すれば弟子入りを認めてくれたんです。最初は通いで教わっていたんですが、師匠の引っ越しを機に声をかけてもらい、住み込みの弟子(内弟子)となりました。内弟子は、師匠にずっと付いて炊事・洗濯・掃除からカバン持ちまで、何から何までやるのですが、一緒にいる時間も長いため通いの弟子に比べて教えてもらえる機会も多く、海外公演にも連れて行ってもらいました。
現地駐在の日本人がお客さんです。談志師匠は、前半はスーツ姿の漫談で爆笑をさらい、後半はピシっと着物で人情噺を演って泣かせる。「ああ、一人でも、笑わせることも泣かせることもできる噺家にならなくては」と勉強になる貴重な経験がたくさんできました。
その2年半後には二ツ目に昇進して独り立ち、ということで師匠の家を出ることになりました。

その後、1987年に真打に昇進されて いまではお弟子さんもいるんですね

今はアタシの噺を弟子が録音して、覚えてから指導をする、といった感じですが、昔は「三遍稽古」と言って、師匠の話を三回耳で聞いて目で見て覚えるというやり方でした。
落語は話し方もさることながら、仕草も重要。声は変えずに姿勢や動きで老若男女を演じ分けます。ですから、アタシ自身も習いましたが弟子には日本舞踊を学ばせています。扇子と手ぬぐいの扱いは練習あるのみですね。
どうやったら扇子が扇子に、手ぬぐいが手ぬぐいに見えなくなるかは上手な人を見ては真似をし、そうでない人のを見ては変えてみる(笑)。また、落語の世界は自分の師匠だけではなく、別の師匠に教わることもできます。弟子達にはなるべくたくさんの噺、いろいろな形の落語に触れてもらい、可能性と選択肢を与えられればと思っています。

談幸師匠といえば古典落語ですが、とくにお気に入りの演題はありますか

だいたい持ちネタは200はあります。
もうオールマイティ落語家なんですよ(笑)。なんて……。好きなのは郭廓(くるわ)噺ですね(注:江戸時代の遊廓を舞台にした噺。
「明烏」「居残り左平次」など)。男女関係は今も昔も大差ない。人間の機微というか人間模様が出せるところがいいです。でも、いつも同じ噺をしていちゃ楽しんでもらえないんで、その時のお客さんの様子を見て、直前で変えることもありますよ。事前にどんなお客さんかがわかっていればいいですが、直前まで決まらないなんてときは緊張しますよね。
寄席なんかは持ち時間15分でいかに楽しんでもらえるか、真剣勝負です。で、いざ噺を始めたら、自分が思い描いたとおりに話せているかを考えながら演じています。
落語は「間」が大切なので、お客さんの反応を見ながら調節していきますが、ふとその間が崩れる怖さを感じる時もあります。

66歳、円熟の境地というところでしょうか

200あるネタを整理して、年齢に応じた長編物(数日間かかる連続小説のようなネタ)を演じていきたいと思っています。
マイクを通して「聞こえる」噺ではなく「声」に気を配り、「伝わる」噺を提供できればと。それが、笑いになり涙に繋がるのではないでしょうか。

たてかわだんこう
昭和53年、立川談志に入門。< br>昭和57年二つ目昇進、談幸と改名し昭和62年談志の認証により真打に昇進。
現在は落語芸術協会所属。
落語だけでなく著書・講演会なども精力的に行っている。
HP:https://dankou.jimdofree.com/
ツイッター:@nirenokokage
YouTube:「立川談幸」で検索


2020/12/25発行

インタビュアー: もりあやこ

表情豊かにたくさんのお話をしてくださいました。日常会話にもかかわらず思わずこちらも笑いがこぼれることが多くあり、本当に楽しい時間でした。ぜひ、フェイスブックやYouTubeなどで談幸師匠の魅力に触れてみてください。



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